橋のたもとの少年・②
橋のたもとの少年・②
私たちの街は、女子は女子高に、男子は男子高にと、高校で別れるのが当たり前だった。今はすべて共学だが。
夏休みになると、我が家の向かいの商店に、あの、橋のたもとにいた少年が、卵を納めに来る(鶏卵店のバイト)。
私は、まるでストーカーのように二階の窓から、彼が、今日も元気に配達に来たことを確認していた。
彼と同じ学校に行った男子からの情報だと、女子から告白されることは相変わらずあるらしい。
でも、放課後はバイトがあるから、お金をその女の子に渡して、1人で喫茶店に行けばという調子で、ものすごくモテはしなかったらしい。
「記念にください ボタンを一つ」。
青い空に捨てたボタンは、放物線を描いて自分の頭の上に落ちてくる。
あの日、
勇気を出して、
ボタンをもらっていれば。
好きですと一言言っていれば。
今でも、
それを思い出すと、
15歳の私が、
泣き出す。
もう二度と戻ることのない、
初恋のあの春に。
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