保育士として感じる素敵な景色「子供の世界」
誰もが通った道「幼少期」。
幼い頃、パパとママが居て無償の愛情を注いでもらい、様々な“初めて”に挑戦してきた事と思います。
今でも残っている記憶はありますか?思い出せる限りで一番古い記憶は、どんな思い出でしょうか?
今回は私(保育士3歳児担任)の保育園で過ごす日々での素敵な出来事をみなさんと共有しながら、子どもの純情可憐な様子に、ご自身の記憶と重なるような懐かしいエピソードに、一緒にほっこり出来たら幸いです。
嫌いな食べ物と向き合う勇気
好きな物があるように、苦手な物も一緒に存在していることは、人間である事の醍醐味だと私は捉えています。
ななちゃんは、緑色の野菜が苦手です。3歳児クラスに進級してから、給食は自分で配膳するようになりました。
ブロッコリーのサラダを配膳する時に、前に並んでいた仲良しのけんくんが、ブロッコリーを取り除かずに配膳した事を「けんくんは、好き嫌いしないで何でもモリモリ食べられるんだね。」と褒めると、様子を見ていたななちゃんもブロッコリーのサラダを大盛に盛りつけました。
「ななちゃん、食べられる量でいいんだよ。」と声を掛けると「食べられる!」と大きな返事が返ってきました。みんなの準備が終わり、お当番さんの元気な「いただきます!」のご挨拶で給食を食べ始めました。
他の友達が給食を食べ終えていく中、ななちゃんは、やはりブロッコリーとのにらめっこに苦戦しているようでした。
隣のけんくんも食べ終わり、ななちゃんに、「ブロッコリー食べられないの?」と聞くと「食べられるし!あっち行って。」と返事が返ってきました。
しばらく様子を見ていたのですが、最初の1口が踏み出せないようで、椅子から立ち上がったり、床に寝ころんでみたりとお手上げの様子でした。
「手伝おうか?」と聞くと表情が明るくなって頷くななちゃん。箸でブロッコリーを小さく崩し、口へ運ぶと不安そうに口を小さく開けて待っていました。
ゆっくり噛んで飲み込んだ後にななちゃんがつぶやいた一言は、「プリキュアになれる?」でした。
苦手なものに向き合い、一歩踏み出す勇気は、大きな夢と、大好きな友達への憧れだったのです。
あれは、なんだろう?
十人十色と言う言葉があるように、子ども達にも1人ひとり個性があって、物の見方があります。
時にはぶつかり合いながらも友達と見方を共有できる面白さに気が付いていきます。
ようくんは、友達を思う優しい気持ちを持っている素敵な子です。
朝、登園すると遊戯室(体育館のような場所)で遊ぶ事が、ようくんの日課です。この日もお父さんと一緒に登園しました。
「ようくん、おはよう。」と声を掛けると、「先生おはよう。今日は、チョコのパン食べてきたんだ。いいでしょ。」と教えてくれたかと思うと、すでに登園し、大型ブロックで「おうち」を作っていたりょうくんのもとへ走っていきました。
そして、体当たりをして壊してしまったのです。すぐにりょうくんから「壊さないで!やめて!」と声が上がりました。
すると、ようくんはりょうくんの両頬を掴もうと、頬まで手を伸ばしたところでようやく私が追いつきました。
ようくんの手を握って「これ(大型ブロックのおうち)は、何に見えたのかな?」と聞くと「ジャングラー!(戦隊物のキャラクターで悪役)」と答えたようくん。
続いてりょうくんに「ようくんはジャングラーに見えたからやっつけようと思ったみたい。りょうくんは、何を作っていたの?」と聞くと「おうちだよ。」と教えてくれました。
ここで、ようくんも納得したようで、3人で再びおうちを作り直しました。
見方が一致する事で遊びを共有する事が出来る2人なのでした。
初めての瞬間
子ども達は、日々様々な事に挑戦しています。
昨日できなかったことが急に出来るようになったり、何度も挑戦してきたことが成功したりと、そんな一瞬に出会えます。
なおちゃんは、1つ上のお姉ちゃんが居ます。お姉ちゃんが長縄で10回以上跳ぶ姿を見て、一緒に練習するようになりました。
始めた日から「縄回して。お姉ちゃんみたいに回して。」とハードルの高いスタートでした。引っかかると、「先生が悪い!ちゃんと回さないから!」と怒って泣く事もありました。
手を繋いで一緒にリズム跳びをしてみたり、お姉ちゃんの跳ぶ姿をじっと見たり、たくさん長縄と向き合っていました。
ある時、続けて13回初めて跳べた時に、「なおちゃん、お姉ちゃんと同じ13回跳べたよ!」とハイタッチを求めるとキラキラした表情で「やった。」と小さくつぶやきタッチしてくれました。
「ここ(心臓)が、ドキドキする。」と言ったなおちゃんに私も共感しました。
この時感じた、出来た事をじわじわと実感しながら心臓がドキンドキンと鳴る事は、子ども達と一体感が生まれ、保育士でよかったと感じる瞬間でした。
発想を実現
冬は雪が降り、気温も下がり寒い時期となりますが、子ども達は景色も変わり、行事もたくさんあって、わくわくするこの季節が大好きです。
帰りの会で、私が「明日は何して遊ぼうか。やりたい事がある人はいるかな。」と問いかけると「はーい!」とたくさんの手が上がりました。
「まあやちゃん。」と当てると「氷祭りがしたい!」とニコニコ。
「どうやったら出来るかな。」と聞くと、周囲の友達が「綺麗な氷を作る。」「雪で滑り台を作る。」「お店屋さんをする。」とアイディアを出してくれました。
今年は雪が少なく、雪の滑り台を作り上げる事は出来なかったのですが、残りの2つの意見は実現できそうでした。
「綺麗な氷を作り、クラスの部屋から見える位置に飾り、部屋でお店屋さんごっこをしよう。」という事に決まりました。
早速、他クラスから牛乳パックを集めて、「綺麗な氷作り」を始めました。水に好きな色の絵の具を溶いて、園庭に置きに行きました。
翌日の朝、「寒い、寒い。」と身を寄せながら氷を見に行くと、たくさんの色の氷が出来ていて大成功でした。
両手で大事に氷を運び、クラスの部屋から見える位置に氷を飾りました。
部屋に戻ると紙コップと画用紙で作った「ココア屋さん」やお花紙で作った「にくまんやさん」を回転させて氷祭りを楽しんだ子ども達です。
素敵な発想と実現させるためのアイディアはクラス活動で出来る素晴らしい経験の1つです。
(子ども達の名前は全て仮名となっております。)
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